僕は君のために蝶になる


・ファンタジーなラブストーリーだけど、多分主題は人生の再生物語


/邦題がまったくのミスマッチ



またもやジョニー・トー。
冒頭にいきなり彼氏事故死。
その原因が自分にあると思い悩む彼女が事故から3年後、安定剤を止めた途端現れる彼氏の幽霊に悩まされるお話。
最初は怖がり嫌々してたんだけど、徐々に打ち解けていき終盤にはデートするほどになる不可思議。
一体なんだこれは?


彼氏が幽霊となって現れたのも自分の死因を彼女のせいにし、恨みを持っていたからと思えるが、それもお互いの気持ちをぶつけるうちに氷解。
彼氏と父親との関係も理解し合えない仲かと思いきや、隠し持ってた思いを彼女を通し知ることとなり、鑑賞者としては氷解。
そうした諸々により、彼氏無事成仏?
これはいい話である。涙がでた。


少しずつ過去の出来事に遡っていき、最終的には出会いのシーンへと戻り話は終わる。
もはや終盤に『いいところへ連れて行ってあげるよ』の彼氏の言葉にドキっとする。
このままあの世へ連れて行かれるのか?やっぱり恨みなのか?と。


タイトルが全くの意味不明だ。
蝶になってねぇし、なったとしてもお前の為じゃねぇし。
そこで原題『蝴蝶飛』の意味を考えた。
原題にも蝶と入っているので、こんな邦題が付いたのは容易に想像できるが、もっと違う意味があるように思える。
そこで、荘子好きな私としてはまず一番に思い浮かぶのが『胡蝶の夢』だ。
つまり、コレは夢と現実がごちゃごちゃになった話なのか?
彼氏の幽霊は彼女の夢なのか?
そのうえで、結局は『私』という主体はどうであれ存在してますよ的な?


それはそれで違う気がする。
もしかしたら、中国では蝶はあの世とこの世を行き来する生物の象徴なのかな?
その方がしっくりだな。


まぁ、互いの思い残したコトをやり遂げて再生する、そこに涙するのです。
今回も効果的にシンメトリー。
この監督、好きだなシンメトリー。